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週刊Neue Fahne

2018年08月27日号

企業組織での肩書はあくまで「役割」である

ひとは社会環境の変化に無頓着でいると古い因習にこり固まるならば、他人の意見や周りの状況を慮ることのない「固定観念」に基づいた行動をとりはじめる。「固定観念」とは、ある考え方に執着し、合理的な判断をすることのない「思い込み」にもつながる。さらにいえば自分が見たいものしか「見えない」状態になり、見たくないものは「見えない」、あるいは存在さえ否定するという態度をとることになる。
  とりわけ、過去の大きな成功体験は、極めて厄介である。「固定観念」に取りつかれてしまうと、たとえば、第三者から見て明らかな間違いや不合理と思えるような事柄でも、その考えを訂正できなくなるものだ。どんなに説明しても、間違い滑稽さを指摘されても、訂正しようとしない。こうした状態に陥ると周囲からは道化者と位置づけられる。企業組織では厄介者に転嫁することになる。

  ビジネスや仕事の展開において「固定観念」に基づいた「思い込み」は、時として「絶対にこうあるべきだ」という考え方に支配され成長の阻害物となる。この結果、広い視野で物事を見たり考えたりすることができず、一度定められた考え方や型にはまった行動を繰り返すことになる。さらに自分自身の考え方を拘束するだけではなく、他者の行動をも自分の枠にあてはめようとし始めることになる。
  企業人が「固定観念」に取りつかれると、大きな時代変化の局面では思考停止に陥り、柔軟な思考ができなくなる。つまり、「過去に生きる」ことになる。「固定観念」に取りつかれるのは、決して成功者に限ったことではない。あらゆる企業人にも共通している。特に比較的順調で平静で順風満帆な社会環境の下で日常業務を展開してきた者にとっては、変化対応に対して激しい嫌悪感と抵抗を示すものである。

  今日の雇用環境の下では一般的に60歳の定年後も65歳まで本人が望めば、退職後も在籍していた企業で働くことができる高齢者雇用制度が存在している。ただし、一旦「定年」という形で「雇用」が終了しているわけで、定年後からは「再雇用」である。当然、定年によって「役職」も外れている。つまり、新たな雇用関係が発生するということだ。しかし、高齢者雇用でこの変化に順応できない者が増えてきている。
  高齢者雇用制度に基づいて継続雇用されている「元管理職」の存在が職場ガバナンス上で大きな問題になり始めている。昨日までの上司が自分の部下になるという現象は、新たに上司となった元の部下にとって大きな心理的負担となっているからだ。一方で、「元管理職」である継続雇用者にとっては、新任の上司となった「元部下」のこうした負担に無頓着だ。

  上司と部下の関係は「役割」関係である。従って、肩書が変化すれば役割も異なってくる。しかし、往々にして「元上司」にあたる高齢者継続雇用の「先輩」に対して「元部下」の上司は、仕事を頼みにくいという心理が働くものだ。高齢者継続雇用の側も同様に、「昔の部下からの指示には従いたくない」という心理も働く。一般的には双方にいまだに“長幼の序”の意識が存在していることも現実的なところだ。もちろん、年長者を敬うことは大切であるが、“長幼の序”には、“大人は子供を慈しむ”という意味でもある。
  あくまでも企業内組織における肩書は「役割」である。高齢者継続雇用を部下に持つ「元部下」は、自らの役儀として「先輩」に指示・命令する関係であるということを自覚しなければならない。さもなければ組織全体のガバナンス機能が崩壊していくことになる。

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