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週刊Neue Fahne

2019年04月08日号

OJT担当者の心得 −3− 育ってきた社会経済環境が異なることの認識

4月から新入社員を迎え入れた企業は、教育・育成に向けた研修を展開する時期だ。新卒に限らず4月は、移動の時期でもあり職場に新たな「空気」がもたらされる。そこで先ずは管理職自が“「新人」に対する指導と育成は、当該する部門の責任者である管理職の責任と役割範疇である”ことを自覚しなければならない。新人教育のスタートはこの一点に凝縮される。
 なぜならば、企業の行う人材育成の基本はあくまでも現場でのOJTの成否にかかっているからであ。たとえ、管理職本人が直接的なOJT担当者でない場合でも、部下を通した新人への指導・育成責任は管理職にある。

 この時期になると毎年のように「現代若者論」や「新入社員のタイプ論」が語られる。それぞれ面白おかしく語られる「若者論」や「タイプ論」なのだが、これらを真に受けて管理職の側が、いくら「今どきの新入社員は“色々な問題がある”」と繰り返しても決して生産的ではない。まして「ゆとり教育」にその責任を負わせてしまうのもあまりに短絡的で安易なことである。
  現在企業の中軸を担っている管理職の育ってきた社会経済環境と「若手」と呼ばれる世代が育ってきた環境は異なっているのは当然のことだ。さらにいえば、若者と総称される世代は、自らの育ってきた社会経済環境(つまり外的環境要因)に規定され、その環境に適応してきた結果としての「振る舞い行動」をとっているに過ぎない。

 現代の若者の生育履歴はおおよそ次のようなものだ。
1.急速な少子化の進展にともなういわゆる“子ども向け商品・サービス”の充実。
2.全般的な情報通信の発展が単にビジネスに留まらず広く子どもの社会にも浸透。
 つまり、物心がつく段階ですでに社会はこのような環境になっていたのである。こうした環境の下での子どもたちは“自分から主導的能動的に動くことをしなくても”事が足りて育ってきた。さらには、“自分で深く学び、考える”行為をしなくとも答えが安易に得られ、最初から結果がわかるということだ。そのため、答えを得るために“異質な人びとや意見の異なる人びとや事柄と接する必要もない”ということになる。

  社会経済環境は現在、企業の中軸を担っている管理職層が育ってきたものとは非常に異なっている。問題なのはこの環境の違いが職場での素直に行動として表出されるということだ。そして、この行動に直面した管理職層は、若者たちに対して“受身で言われたことしかしない。工夫がない”“失敗することを極端に恐れる”“他責の傾向が強い。自分が認められないと、すぐ周りのせいにる”“自分と異なる世代のメンバーとのコミュニケーションが苦手”という批判にはしることになる。
  育ってきた時代背景を無視して「今日の若者論」と称して新人への批判をいくら繰り返しても意味がない。また、OJTをある期間に限定されたものであると捉えてはならない。時代変化を受入れつつ指導する側と指導される側が共に育つという意味で、新人教育を「共育」と位置づけていく姿勢が先ずは先決である。

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