人材育成が社員と会社組織の協働を創りだす

HOME >週刊Neue Fahne(OJT担当者の心得 −6−相手の立場に立って考え、目的を明確にさせる)

お問い合わせはこちらから 03-5297-1866

お問い合わせフォーム

株式会社ノイエ・ファーネ

東京都千代田区神田錦町1-4-8
ブロケードビル5階B

TEL.03-6260-5700 FAX.03-6260-5701

週刊Neue Fahne

2019年05月20日号

OJT担当者の心得 −6−相手の立場に立って考え、目的を明確にさせる

新入社員研修では一般的に「報・連・相」の重要性が強調される。しかし、具体的なやり方まで教えるわけではない。そこで、現場に配属された新人に対して、「報告」「連絡」「相談」はそれぞれ独立した事柄であることを教える必要がある。往々にして現場は「事後報告」と「結果報告」に満ち溢れているものだ。仕事を依頼する側は、期限になって新人から「できませんでした」と報告を受け、「なぜ、進捗状況を報告してくれなかったのか」と怒り心頭となるのが常だ。もっともこの傾向は新人に限ったことではない。
  報告者にしてみれば「自分はできなかった結果を報告したのになぜ叱られるのだろう」と訝しがることになる。こうした現象が現場に蔓延るのは、新人時代に仕事の進め方を相談し進捗連絡を怠ってはならないことをしっかりと伝えことなく、丸投げしてきた結果でもある。つまり、現場の教育不足ということだ。

「報・連・相」(ほうれんそう)と一口にいわれるが、単なる語呂合わせに過ぎない。「報告」「連絡」「相談」にはそれぞれ、「相手と目的」が存在している。仮にフォーマットに従った報告書であっても「上司が読んで、納得すれば済む」というレベルの報告書と、部下から提出した報告書を受取った上司が、さらに自分の上司から決裁を受けなければならない性質の報告書もある。
  つまり、同じ報告書であっても目的が異なってくるものだ。新人に対してこの目的の違いを的確にとらえさせる現場指導がなされていなければならない。この指導なくして新人は「報・連・相」を習得することはできない。新人に目的を理解させるためには、「相手の立場に立って物事を考える」という習慣づけをさせることが不可欠となる。

「仕事は指示に始まり、報告に終わる」といわれる。仕事が終わったら、報告することは指示を受けた側の最低限の義務である。しかし、報告すればそれで一件落着というわけではない。仕事の目的を考えれば、報告は終点ではなく、出発点か中間点である。
   従って「すべての報告は中間報告」ということになる。新人に対して教えなければならないことは、“仕事には「終わりました」という報告だけでは不十分であり、仕事に終わりはない”ということだ。仕事の目的を明確にし、さらにその目的のもう一段上の目的である上位目的を考えた仕事をしていれば、単なる終了報告ではなく、先々を見通した次の提案につながる報告を意識することができるようにもなる。

  現場では「上司が目的を明確にしてくれない」と不満を抱く新人が発生してくるものだ。こうした新人は「報告」「連絡」「相談」の目的に限らず、そもそも「仕事の目的は自分で明確にするものであり、わからないときには、直接確かめる」という原理原則を理解していないということになる。
  相手が必要としている「目的」をしっかり意識するためには、相手をよく観察し、考え方や全体状況を掴む必要がある。相手の立場に立ち、目的は何かを自分で明確にすることが仕事には欠かせないポイントということだ。現場が新人に教えなければならないことは、この「相手の立場に立ち、目的は何かを自分で明確にする」という主体的な行動を身につけさせていくことだ。

一覧へ

ページのトップ