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週刊Neue Fahne

2020年03月16日号

新人を「困った君」にしてはならない−7− 他の部門・部署との連携意識を持たせる

新人に限らず部門・部署間での連携は管理職にとっても意外と不得手である。この要因には次のような意識が働くかだ。例えば、「自分の部門・部署だけで仕事が完結するという思い込み」「自分の部門・部署が第一であるという驕り」「自分の部門・部署だけが苦労しているという錯覚」などだ。これらは言葉を換えれば“縦割り意識”の典型でもある。
  こうした意識が強く蔓延している部門・部署に配属された新人は、まさに「朱に交われば赤くなる」の例えの通り、すぐにこの意識に染まることになる。今でも“縦割り意識”は官公庁の組織体制を揶揄する言葉として用いられている。しかし、“縦割り意識”はある意味で組織体の宿痾でもあり、組織を構成する一人ひとりの働きを阻害することになる。

 日常業務に追われて「今ある事柄」の処理のみを考えているならば、結果的に仕事に追われていることになる。するとどうしても目先のことばかりに目が行き、他部門・部署のことが目に入らなくなってしまう。さらに言えば、自分の部門・部署に与えられた仕事に全力を尽くすほど、この傾向が強くなり組織全体を考えないという皮肉なことになる。
 もちろん自分の部門・部署に課せられている業務、なかんずく自分に課せられている業務の遂行に責任をもって取り組むことは当然のことである。しかし、これは組織全体の流れを意識することなく、「与えられた事柄のみが全て」ということではない。自らの職務の遂行に責任をもって取り組むとは、組織全体にも責任を負うということである。

 企業組織において仮に多くの人員を抱える部門・部署であっても、単独で仕事が完結するわけではない。必ず、自分の部門・部署の仕事は他の部門・部署との関係性において成り立っている。そして、それぞれに全体のなかでの役割が存在している。もし完全に独立しているのであれば、企業組織体を構成する要素である必要がなくなる。自らの部門・部署のことにのみ目が向かい、他の部門・部署に関心がないということは、自らを別の企業組織体と位置づけてしまうことになる。
  つまり、今自分が属している部門・部署からだけの発想で企業組織を認識してしまうことは、知らず知らずのうちに組織体として構成される意味を否定していることになる。今日の時代は企業組織に変革の連続性が求められる。企業組織にとっては他の部門・部署との連携をとり、組織全体を視野に入れてその整合性を考えていかなければならない。そして、整合性がないのであればその部門・部署の存在意味がないと判断しなければならない。

  新たに配属されてくる新人には物事に対する広い視野を持たせると同時に、組織体を俯瞰する視点を意識させる必要がある。新人を配属された部門・部署だけに縛りつけているならばいつしか、視野狭窄に陥ることになる。これは単純に短期間にジョブローテンションを繰り返すという意味ではない。日常的な業務実践において新人には、他の部門・部署の状況を伝えながら、部門・部署間の関係性を理解させるとともに連携する意識を醸成させていかなければならない。このために時には他の部門・部署の構成員と積極的に触れ合う場を設定することも必要となる。
  必要に応じて他の部門・部署の会議に出席させ、何が議論され何が課題となっているのかを横断的に理解させることも必要もある。一言でいえば新人に「今、企業組織で起こっていることは、すべて自分にかかわりがあることである」という意識を持たせることである。さもなければ新人の視野は広がらず、配属された部門・部署からのみしか発想しなくなる。

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