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週刊Neue Fahne

2020年03月23日号

新人を「困った君」にしてはならない−8− “自分の頭で考える行動規範”を創る

誰しも自分の仕事が山積みになってくるならば、目先の事柄を“こなす”ことが第一義になるものだ。そして仕事を行う本来的な意味のみならず、中身や効果さえも振り返る余裕もなくなってしまうのが現実だ。しかし、これは仕事を単に“こなす”ことに陥っていることにほかならない。こうした“こなす”仕事のやり方を繰り返しているならば、いくらたくさんの仕事をこなすことができたとしても、それは所詮、作業に過ぎないことになる。
  こうした仕事のやり方を繰り返しているならば、いつしか仕事は自分からかけ離れて疎外されたものになる。仕事はそれをやる意味を理解して「自分事」でなければモチベーションも上がらない。つまり、本質的に自分自身の欲求に根差したものでなければ、仕事は「他人事」となるだけではなく、「強制された労働」という意識になるものだ。

  自分が行う仕事に対して「強制された」という意識を持つならば、仕事の完成度も低くなり、成果にさえ興味が持てなくなるのは必定である。この種の意識の下での仕事の繰り返しでは、結果的に具体的な成果を上げることは期待できない。同時に付加価値さえも産まない。そもそも成果に結びつかない仕事など、それをやる意味さも疑わしいことになる。
 新人に対して仕事の進め方を教えていく場合に必要なことは、単に手法を教えるのではなく、仕事の意味づけを明確にする必要がある。意味づけが重要なのは、一人ひとりの働きに「強制されている」という意識を持たせないためでもある。これを怠るならば、新人は程なく自らの仕事を「苦役」と捉えることになる。乱暴にいうならば“給与をもらうから仕事をする”という発想に陥ることになる。

  新人に仕事への「苦役」意識を持たせないためには、企業組織での自分の仕事が他部門との連携で成り立っているということを理解させる必要がある。また、複数の事柄が同時並行で進行するものであることも認識させなければならない。つまり、“自分の仕事が単独で成り立っているわけではない”ということを自覚化させるということだ。仕事において自分に課せられた事柄に弛緩が発生するならば、次の工程も必然的に遅れが生じることになる。この結果、最終的には顧客へのしわ寄せとなる。
  新人に対して時間管理の重要性を説くのは当然のことである。一方で単純に一人ひとりが自分の行う単体の仕事の納期厳守を強調するだけでは意味がない。あくまでも自分の仕事の工程が最終的に顧客につながっているという意味で「後工程は顧客に直結している」という感覚を持たせる必要がある。

「後工程は顧客に直結している」という感覚を持たせることは、新人に仕事上での優先順位の重要性を醸成するということでもある。多くの職場には今もって部下に仕事を与えれば、「あとは何とか部下がやるだろう」という単純な上意下達が通用するとの思い込みがある。こうした職場では上司が部下に対してともすると五月雨式の命令を発する傾向がある。この種の上司の指揮下にいる新人は、自らの仕事に優先順位をつける重要性を形成することはできない。何故ならば、上司にいわれたことを“その都度に熟していくことが仕事である”との思いが先行し、いつしか“いわれたことを実行する”ことに安定感を覚えるようになるからだ。
  部下に対して五月雨式の命令を発するのは、命令を発する上司の側が仕事に優先順位を付けていない証左でもある。あるいはそもそも上司自身に仕事の優先順位を付ける能力が欠如している場合もある。こうした環境の下では新人に対していくら仕事に優先順位をつけることの重要性を説いたとして意味がない。何故ならば現場において自分自身が意識的に自分の頭で考えて行動する環境が形成されていないからである。新人を「困った君」にさせないとは、「自分の頭で考える」という行動規範を職場全体に確立していくことでもある。

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