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週刊Neue Fahne

2023年08月21日号

マネジメント行動の再検証-11-自らの社会的存在を意識した働き方が問われる

自らの仕事と働き方の意味を自らが問わなければならない時代だ。人手不足といわれる反面で、職場には「働かないおじさん、おばさん」が溢れているかの論調も相変わらず盛んである。片やマネジメント力が欠如した中高年による「最近の若者は…」という愚痴ともつかない若者に対する根拠薄弱な論調もあとを絶たない。
  若者に対する年長者からの発言内容には、多分に若者に対する妬みとも含まれているように思えてならない。若者であろうが中高年であろうが企業組織に雇用されて働く以上は、自分と企業組織の関係を明確にしておかなければならない。この視点を持たず安易に自分の経験則に浸りながら今日の若手社員と接しているならば、彼ら彼女らの成長に対する阻害要因となることは目に見えている。

  特にマネジメントに携わる者が確認しなければならないことは“企業とは、社会と人間にかかわる重要な組織である”ということだ。もちろん企業組織に属することが、「働く」ことのすべてではない。就労形態においても、さまざまな「働き方」があって当然である。重要なのは社会と自分がどのように関わって生きていくかということだ。一人親方の職人であれ、個人事業主であれ、企業という組織体に属していなくとも、自らの「働き」が地域社会や仕事仲間、あるいは業界団体という社会との繋がりがあって、初めて自らの仕事が成立している。
  企業という組織体はこの社会との繋がりなくして、その存在理由がない。こうした側面からするならば企業組織で働くことは、自分自身の「働き」を通して社会に役立っていく過程で、自らの技能や能力を磨き高めていく大いなる「学び舎」の一つとして捉えることができる。最近、バズワード化している「リスキリング」も錆びついたスキルにしがみ付いている中高年に必要なのではなく、日々変化する業務で役立つスキルや知識を学ぶことであり、年齢に関係するものではない。

 自分は企業組織に属し仕事をしているわけではないが、「社会に役立つ仕事をしている」と自負することもできる。繰り返しになるが企業で就労していようが、個人事業であろうが、自らの働きが、社会に役立つことに意味がある。この点では就労形態が左右するわけではない。しかし、問題は、社会に役立つ仕事を行っていく上で、「働くことの意味付け」を確固としたものとして確認するために、企業組織での働きが極めて有効に機能するということも事実だ。
  企業組織は共通の目的を持った者が集まり、組織を構成するメンバーと相互の協働を通して成果を確かなものにしていく。この視点に立つならば「働き」に必要となる対人関係能力をはじめとする様々な技能習得は、組織体での仕事を経験することでより効率的になされるということだ。

  企業組織における経営者・上司・先輩、あるいは同僚・後輩、さらには取引先という全ての利害関係者(ステークホルダー)との関係性は、組織体に身を置く者にとって何よりの社会経験として蓄積される。なぜなら自分を中心として上下・前後・左右に位置する人びとの意識や行動を広角的に見てとることができるからだ。この経験は自分の社会的存在を認識させてくれる。
 経営者や上司の立ち振る舞いを俯瞰していれば、おのずと彼らの社会経験、勤労経験からにじみ出くる企業や働くことについて、彼らが感じている意義や重要性をつかみ取ることができる。当然ながら良き「反面教師」にもなる。同僚や後輩との接点を通して、自らの立場や観点の妥当性などを検証することもできる。これらは自分自身に無形の財産として蓄積されるものだ。こうした企業組織での働きを通じた関係性についての知見は、自分の成長の幅を着実に広げていく。

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