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週刊Neue Fahne

2024年04月08日号

若手社員に真摯に向き合う-1-対等な一人の企業人としての関係性

 2024年の新年度がスタートした4月1日は、多くの企業で新入社員の入社式が行われていた。東京の主要ターミナル駅周辺は真新しいスーツに身をくるんだ若者で溢れている。また、都内あちこちで見られるスマホ地図アプリを頼りに研修会場に急ぐ新入社員の光景は、まるでこの時期の街の風物詩のようだ。
 一方でこの時期には新入社員が「入社1日で辞めてしまった…」あるいは「1日目の昼休みから戻ってこず、午後になって電話で退職を伝えてきた…」といった類の“新入社員のスピード退職を巡るトンでもぶり”を強調したアルアル話が広まるのも常だ。もっともこれらは主にSNS上での話題が中心のため逸話なのか、はたまた「都市伝説」的の類なのかも曖昧である。

 今年も5月の連休明けともなれば“スピード退職”の情報に加えて、退職代行会社を用いた退職や親が介在した退職にまつわる話題などが実しやかに面白おかしく話題になるだろう。さらには新入社員に実施される研修内容を巡るネガティブ情報も飛び交うことになるだろう。最近では少なくなったとはいえ新入社員研修にチームビルディングとして、何泊かの宿泊を伴う集合型宿泊研修を取り入れている企業もある。往々にしてこの種の研修は唾棄されている。
 もちろん若者に限らず複数の他人と寝食を共にすること自体に違和感を持つ者がいる。このため、こうした研修から逃げ出す新入社員の話もいまだに聞こえてくることも確かだ。もちろん真贋のほどは定かではない。しかし、新入社員への育成や研修を巡っての話題は、恐らく、日本企業の新卒一括採用が続く限り毎年この時期の常套として繰り返されることになるであろう。

 企業によっては新入社員の教育にかける物理的な時間もまちまちだ。業務知識も含めて相当のボリュームの内容を配属前に実施する企業もある。また、入社後すぐに現場に配属してOJTによる育成を重視している企業もある。新入社員の育成にとってどちらに有効性があるのかという問題設定には意味がない。何故なら新人育成に当たり業務展開に必要な知識を一定のレベルをクリアするまで習得させてから配属するのか、あるいはあくまでも現場での習熟を基本にするのかの個別企業のスタンスや手法の違いに過ぎないからだ。
 一ついえることは、いずれの育成手法も仮にいわゆる「ジョブ型」にシフトした雇用が波及と普及し始めてくるならば、大きく変わってくることになる。何故ならば新入社員に限らずこれまで企業が行ってきた人材育成と教育は、あくまでも「メンバーシップ型」の雇用を前提として構築されてきたからだ。このため、「ジョブ型」的な雇用制度との相性は未知数である。乱暴にいえば「ジョブ型」の雇用の場合には、従業員の一人ひとりの育成に時間や手間をかけることそれ自体が、雇用の仕組みと形容矛盾をおこすことになる。

 雇用制度や仕組みが転換したとしても依然として、人材に対する指導責任は現場の管理職層の肩にかかってくることに変わりない。そこで問題になってくるのが今日の管理職層にとって自分たちが育てられた時代、つまり若かりし日に染みついた価値観や基準を主導的にバージョンアップすることが出来るか否かである。もちろん今日の管理職層に染みついている価値観や基準が全てマイナスであるとは限らない。
  あえていえば、管理職層には新入社員をはじめとする若手社員の価値観や基準と自分たちが育てられてきたモノとの間での折り合いのつけ方が重要になる。折り合いをつけるとは若手社員に対し”腫れ物にさわるように接する”ことではなく、対等な一人の企業人として互いに異なる価値観を止揚していく関係性を作るということである。この関係性作りがこれからの管理職層と若手社員の双方にとっての課題でもある。

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