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週刊Neue Fahne

2025年11月17日号

“働き方”と“管理職の在り方”に絡む思念-19-“ダメ上司”のレッテルが貼られる行動

 組織において上司が担うべき役割は多いが、部下が「この人は頼れない」と感じる瞬間は意外なほど明確である。しかも、多くのケースでは本人が自覚しないまま、職場の信頼をじわじわと失っている。では、どのような行動が上司を“ダメ上司”として部下の記憶に刻みつけるのか。その典型的な四つの行動を整理してみたい。

情報をさばけない上司は組織の流れを止める
 第一に、情報伝達の不備である。現代のマネージャーは膨大な社内情報のハブとなる立場に置かれている。経営戦略、新技術、競合動向、重要顧客の変化、行政規制など、日々企業から提供される情報は多岐にわたり、量も多い。本来であれば、その中から自部署に関係するものを取捨選択し、必要な人へ必要なタイミングで渡すことが求められる。
“ダメ上司”はこの処理を苦手とする。すべての情報を無差別に転送して部下を情報の洪水にさらすか、あるいは逆に情報を握り込み、必要な場面でも何も共有しない。情報の価値は「誰に」「いつ」「どのように」届けるかで決まる。ここを理解しない上司は、本人が気づかぬうちに部下からの信頼を大きく損ねていく。

企画を“増幅”できない上司は価値を育てられない
 第二に、新しい企画を推進する方法論を持たない点である。多くの企業では、新規企画をどのように育て、社内で広げていくかという実践的な知見が体系化されていない。企画推進と聞くと立派な事業計画書を想像するが、実際には小さな成功事例をもとに価値を増幅させていくプロセスのことである。
 一つの顧客で得られた小さな成果を、他の顧客にも展開できる形に整理し、周囲に期待感を生み、その期待に応える形でさらに成果を積み重ねる。つまり、雪だるまのように価値を拡大するのが有能なマネージャーである。ここには価値発見力、仮説構築力、社内資源の獲得力、成果を伝える発信力など多様な能力が求められる。
上司がこうした方法論を持っていないと、部下が新しい価値の種を見つけても、一顧客で終わる「単発の成功」以上には育たない。部下の意欲が高ければ高いほど、「この上司では価値が伸びない」と失望させる結果となる。

上層部に通じない上司は職場の天井になる
 第三に、上層部へ橋を架ける力、いわゆる上通性の欠如である。必要な予算を獲得し、仕事に不可欠なルールを整備し、自部署の要望を説得力をもって訴える。これらは上司にしかできない役割である。上司が上層部の意志決定者に対し、筋の通った意見を述べ、必要なものを取りに行けるかどうかは、組織の成果に直結する。
“ダメ上司”はこの上通性が圧倒的に弱い。上司の上司から相手にされず、必要な提案が通らない。時には部下のほうが「自分が直接プレゼンしたほうが通るのでは」と感じるほど説得力がない。実際、部下が偶然会議に同席した場で上司の提案が簡単に却下される場面を目にすれば、信頼は一気に揺らぐ。上司としてのガバナンスが崩れ始め、職場の機能不全に発展する。

不公平な評価は信頼を一瞬で壊す
 第四に、評価の不公平さや不透明さである。上司がどこを見て何を評価するかは、部下にとって極めて重要な情報であり、信頼の基盤となる。もちろん、評価に不満のない職場など存在しない。しかし、“ダメ上司”は評価の焦点がずれていたり、事実誤認に基づくコメントを平然と行ったりする。これでは、「この人は仕事を理解していない」と部下が判断するのも当然だ。
 仕事の本質と無関係な細部にこだわったり、見栄えだけの報告書を過大評価したり、逆に価値ある提案を時代遅れと切り捨てたりする上司は、アウトプット重視の時代において致命的に信頼を損なう。評価を誤る上司は、最終的に部下の成長機会を奪い、組織の成果を長期的に下げる存在となる。

 以上四つの行動に共通するのは、マネージャーが本来担うべき「価値を増幅させる装置」としての役割を放棄してしまっている点である。部下は上司に完璧を求めてはいないが、「この人と仕事をすると価値が広がる」という実感だけは求めている。逆に、その実感が欠けた瞬間、上司は“ダメ上司”のレッテルを貼られてしまう。マネージャー自身が自らの行動を点検し、信頼の基盤を築き直すことが、組織の健全性を守る第一歩となる。

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