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週刊Neue Fahne

2026年01月26日号

中小・中堅企業に内包する管理職人材の課題-2-無免許運転マネジメントの横行

 中小・中堅企業の成長を阻む最大のボトルネックは、資金でも戦略でもなく、「無免許でマネジメントを行う管理職層」の存在であるといっても過言ではない。多くの企業では、社員数が20人〜30人規模を超えた段階で課長・部長といった階層が生まれる。しかし、その肩書きの誕生と同時に、マネジメントの質が自動的に担保されるわけではない。むしろ、この段階で組織は新たなリスクを内包し始める。

 第一の構造要因は、「生存者利益」による自動昇進である。中小・中堅企業では、管理職登用の基準が「長く勤めてきた」「現場で成果を出してきた」という一点に集約されがちだ。大企業のような選抜競争や多面評価が存在しないため、管理能力を証明しなくても年次が上がれば席が用意される。結果として誕生するのが、優秀なプレイヤーでありながら、マネジャーとしては未熟な人材である。彼らは「自分が動いた方が早い」という思考から抜け出せず、部下育成や業務の仕組み化といった本来のマネジメントを後回しにする。これは個人の怠慢ではなく、構造が生み出した必然とも言える。

 第二に、「管理職教育」への投資不足がある。2026年現在もなお、多くの中小企業では「忙しくて研修に行かせられない」という理由で、管理職教育が後回しにされている。結果、OJT頼みの育成が連鎖し、「背中を見て学べ」という旧来型のマネジメントが再生産される。マネジメントが体系化されず、個人の性格や経験に依存するため、部署ごとに当たり外れが生じ、組織全体としての再現性が失われていく。

 第三の問題は、組織規模の拡大に伴う「翻訳機能」の欠如である。売上規模が拡大してくると、社長一人の号令では現場は動かない。経営の意図を噛み砕き、現場の言葉に変換する中間管理職の存在が不可欠になる。しかし現実には、その翻訳能力を持たない管理職が層として存在し、経営と現場の間に厚い壁を作ってしまっている。2024年の改正産業競争力強化法により、中堅企業の成長を促進するため特に教育面での支援が強化された。これは、経営人材の不足が最大の課題として残り続けている背景でもある。

 さらに深刻なのは、多くの管理職がマネジメントを「技術」ではなく、「気合・根性・経験」といった精神論で捉えている点だ。彼らにとっての教科書は自社の過去の成功体験のみであり、体系化された知識は「大企業の理屈」として排除される。日々のプレイングに追われ、学習は贅沢品とみなされる。その結果、「本を読まない管理職」が層として温存され、マネジメントの属人化と低レベル化が固定化されていく。

 たまたま生き残った年長者が、無免許で組織という機能装置を運転している。この比喩は決して大げさではない。しかも人手不足が深刻化する2026年現在、その無免許運転の代償は、若手の離職という形で即座に表面化する。酷な言い方であるが管理職リスクが中小・中堅企業の存続リスクへと直結する時代に入ったといっても過言ではない。年齢を重ね、アクセルとブレーキを踏み間違える管理職の暴走を、組織はもはや許容することはできない。

 形だけの役職を増やす時代は終わった。中小・中堅企業が真に成長するためには、マネジメントを「学習可能な技術」として捉え直し、免許なき運転を放置しない覚悟が求められている。管理職人材の課題とは、個人の問題ではなく、企業組織の未来そのものである。

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